抗がん剤で排尿障害を引き起こした時の注意事項

排尿障害(尿意の低下・排尿困難など)

膀胱への神経が障害されて排尿を促す脳への刺激が減少。

排尿障害とは、膀胱に尿がたまっても、それを排池する操作がスムーズにいかなくなる障害です。

 

腎臓や泌尿器系の病気など、スムーズな排尿を妨げるさまざまな要因が重なり合って起こることが多いのですが、
ほとんどの場合、その要因を除けば症状は改善します。

 

排尿障害は抗がん剤の副作用として起こることもあり、
末梢神経系に含まれる自律神経に起こる障害の一つとされています。

 

原因となる抗がん剤には、ピンプラスチン、ピンクリスピンなどがありますが、
排尿障害を起こす詳しいしくみは明確ではありません。

 

一因として、これらの薬剤が膀胱につながる神経に影響を及ぼして、
尿が膀胱にたまっても、それを尿意として脳に伝える刺激が減少するために起こると考えられています。

 

 

症状は人によってさまざま。高齢者は重症化に要注意。

排尿障害の起こり方は、神経の損傷の程度や人によっても違いがあり、
次のようなさまざまな症状がみられます。

 

  • 尿意を感じにくい(尿意の低下)
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  • 尿が出にくい、尿の勢いが弱い、出るまでに時間がかかる、力まないと排尿できない(排尿困難)

     

  • 排尿しても、まだ残っている感じがする(残尿感)
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  • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
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  • トイレに間に合わずにもらしてしまうことがある(尿失禁)
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  • 下腹部に不快感や圧迫感がある

 

また、排尿障害のほかに、排便障害を起こすことがあります。

 

とくに高齢者では、進行するとまひ性イレウス(腸閉塞)をまねいたり、
尿閉(尿がまったく出なくなる)になることもあるので注意が必要です。

 

さらに、がん以外のからだの状態として糖尿病、前立腺肥大、脳血管障害のある人では、
そのリスクが高いと考えられます。

 

 

排尿を促す日常生活の工夫

  • 軽い体操や散歩などでからだを動かすと排尿しやすくなる
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  • 尿意が起きたらがまんせず、すぐにトイレへ
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  • 背中をそらし、おなかに力を入れると尿が出やすくなる
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  • 下半身を冷やさず、入浴で腹部を温めると不快感がやわらぐ
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  • 膀胱内に尿を増やすため、十分な水分を摂取する
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  • 飲み物を十分とっているのに、10時間以上、尿が出ない時は医師に相談

 

 

有効砿治療法は拡く、予防と生活の工夫が重要。

抗がん剤による排尿障害の有効な治療法や治療薬は、今のところありません。

 

いったん発症すると長期化したり、元に戻らない障害を残すこともあるので、
症状を早期に発見して、悪化を予防することが何よりも大切です。
そのためには自覚症状に注意し、異常があればすぐに医師または看護師に相談します。

 

また、抗がん剤治療中は、医師から指示された検査を必ず受けてください。

 

副作用対策としては、抗がん剤の使用量を減らしたり、ほかの薬に切
り替えたりします。抗がん剤治療が終われば症状は改善されますが、
回復には数週1数か月聞かかることもあります。

 

尿閉が起きた場合は、自分で膀胱まで細い管(カテーテル)を入れて尿を出す
「自己導尿」が必要になることもあります。

 

このほか、症状を悪化させないために、日常生活のなかでできる工夫もいろいろあります。
医師からアドバイスを受けてその対策を実行することが、
より快適な生活を取り戻すために役立ちます。