抗がん剤の副作用で肝機能障害が起こったら

肝機能障害(黄疸・食欲不振など)

多くは一時的な障害だが、致命的な重症化もある。

抗がん剤に限らず、多くの薬剤は肝臓で代謝されます。
このため肝臓の代謝能力以上の薬剤が肝臓に入ると、
その影響で肝臓の機能が障害されることがあります。

 

抗がん剤治療にともなう肝障害は、どの抗がん剤を使用しても起こりうる副作用です。
多くは一時的なもので、薬剤を中止すれば三週間ほどで回復します。

 

しかし、ときに致命的な障害を引き起こすこともあるので軽視できません。
また、治療中に起こる肝障害は抗の薬剤や生活習慣など、さまざまな要因が関与します。
このため、肝機能障害の原因や発生時期を特定するのは困難とされています。

 

 

抗がん剤の有害反応で、肝臓組織が変性する。

抗がん剤で起こる肝障害の多くは中毒性のもので、
ほかに薬物過敏(アレルギー反応)や血管内皮障害によるものがあります。

 

肝臓の組織変化から、次の三つに大別できます。

 

肝細胞障害・壊死抗

がん剤またはその代謝物により、肝細胞が障害されて壊死を起こします。
無症状で発症することが多いので、肝機能検査値(ALT、AST、ピリルピンなど)の異常に注意が必要です。
原因となる主な薬剤にはエトポシド、メトトレキサート、ピンクリスチン、メル力ゾトゾリンなどがあります。
また、L-アスパラギナーゼでは高頻度で肝障害がみられますが、中止により多くは回復します。

 

肝中心静脈閉塞症(VOD)

血管内皮細胞の障害で肝静脈の血流障害が起こります。
抗がん剤投与後に突然発症し、急激に悪化します。エトボシドが代表的な原因薬剤です。

 

慢性線維化

抗がん剤の長期使用で起こる遅発性の障害で、肝臓の組織が線維化してかたくなります。
主にメトトレキサート、アザチオプリンなどの薬剤で起こります。

 

 

肝機能障害の生活の注意

  • 市販薬も含め、医師に指示された薬以外は飲まない
  •  

  • アルコールは肝臓に大きな負担がかかるので、飲酒は厳禁
  •  

  • 体力を消耗させる運動は控え、十分な休息と睡眠をとる
  •  

  • タンパク質不足に注意し、栄養バランスのよい食事をとる

 

 

黄痘、合戸欲不振、吐き気、ときに無症状のことも

肝障害の症状は、黄山商一(皮膚や白目が黄色くなる)や食欲不振、
吐き気、幅吐、下痢などの消化器症状が中心ですが、症状が出ないケースもあります。

 

ほかに倦怠感(だるさ)、腹部膨満感、むくみ、重症のケースでは意識障害がみられることがあります。
VODでは、肝臓の腫大による右腹部痛、体液貯留による体重増加もあらわれます。

 

 

確実な治療と予防はなく、検査での早期発見が大切。

肝障害の特別な治療法はありません。早期に異常を見つけて、
原因と考えられる薬剤を変更または減少・中止し、安静を保つことが原則です。

 

大半はこれで改善がみられます。対症療法としては、グリチルリチン製剤や肝庇護薬が使われ、
障害が長期化したり、重症化した場合にはステロイド剤の使用も検討されます。

 

VODでは、体内の水分を調整したり、塩分摂取を制限するなどの対症療法で体液の貯留を防ぎ、
必要があれば利尿薬が用いられます。

 

抗がん剤で起こる肝障害の予防法は、今のところ確立されていません。
アレルギー体質の人や、肝臓に病気のある人は抗がん剤の副作用が出やすいので、
治療を受ける際は事前に必ず医師に報告しておきます。

 

また抗がん剤を使用中は、定期的に肝機能検査を受けましょう。

 

とくに重い肝毒性が知られている薬の場合には、初めの二~三か月間は二週間に回程度の検査が必要です。