抗がん剤の副作用で血尿が出た時の対応とは

血尿(出血性膀胱炎)

抗がん剤の代謝物質で、膀胱に炎症が起こる。

抗がん剤のなかには、膀胱を強く刺激する作用(腕脱毒性)をもつものがあり、
こうした薬を大量に使用した際に出血性腕脱炎を引き起こすことがあります。

 

代表的な原因薬剤として、イホスフアミド、シクロホスフアミドが知られています。
その代謝産物であるアクロレインという物質が、腎臓を経て膀胱にたまり、
膀胱壁に直接作用して炎症を引き起こすのです。

 

出血性膀胱炎は、これらの抗がん剤を投与される患者さんの約10%におこるといわれています。
ほとんどの場合、薬剤の中止で治癒しますが、
重い障害が残る可能性もあるので、何よりも予防が重要です。

 

 

腹痛や排尿痛をともなわない。無症状の血尿が出ることも。

症状としては、尿量減少体重増加のほかに、下腹部痛、排尿時痛、血尿などの膀胱炎様症状があらわれます。
人によっては、排尿困難、排尿時の灼熱感、腰痛などを訴えることもあります。

 

ときには血尿以外は無症状のこともあるので、尿の量だけでなく、
色の変化や混ざりものはないかなど、尿の性状にも注意が必要です。

 

血尿の程度はさまざまですが、通常、出血量は微量なので目には見えません。
肉眼でわかるような出血がある場合には、ピンク色で血塊(血のかたまり)が混じったり、
真っ赤に染まっている事もあります。

 

 

予防は十分な飲水と排尿、予防薬の服用も有効。

イホスフアミド、シクロホスフアミドなどの抗がん剤を大量に使用するときは、
膀胱の障害を防ぐために、しばしば予防薬としてメスナ(ウロミテキサン)が併用されます。

 

この薬には、尿の中のアクロレインと結合して、その有害作用を取り除く働きがあります。
また、こうした予防策と併せて、抗がん剤の投与中はできるだけ水分を多くとり、
十分な尿量を確保して排尿を促すことも大切です。尿量を増やすことで代謝された物質が薄められ、
体外に排出しやすくなるからです。

 

口からの水分摂取が足りない場合は、点滴で補う必要もあり、水分摂取については、
医師の指示をきちんと守ることが大切です。

 

 

心配がない尿の色の変化
薬の色素で尿が染まるだけ

尿に血液が混ざっているわけではないのに、抗かん剤の投与後、
尿の色が赤くなったり、青緑色になったりすることがあります。

 

尿を変色させる抗がん剤として、赤くなる場合はドキソルビシンやダウノルビシン、
青緑色に変わる場合はミトキサントロンが知られています。

 

これらの薬剤はそれ自体が鮮やかな赤色または青緑色をしており、
体内で代謝されたあとも着色したまま腎臓や腸脱を経て、尿と一緒に排泄されます。
このため、尿が赤色または青緑色に変色するのです。

 

 

その他の症状も要チェック

尿の色の変化は一日以上続くことがあり、びっくりする患者さんもいます。

 

しかし、これは予測される現象で、薬を投与するときは、
事前に医師から尿の色の変化について説明があるはずです。

 

遅くても一~二日以内には着色はなくなるので、心配する、必要はありません。

 

ただし、尿の着色が血液によるものか、抗がん剤の色素によるものかはっきりしない場合や、
下腹部痛や排尿時痛、またはそれ以外の症状をともなう場合は、医師または看護師に相談しましょう。

 

 

多くは薬剤投与の中止と十分な輸血で改善。

出血性勝脱炎を起こした場合には、抗がん剤の投与は中止され、
十分な輸液によって症状は大きく改善されます。

 

ふつう血尿は二~三週間で減少しますが、少量の出血は数か月続くこともあります。

 

膀胱に重度の損傷があると考えられる場合には、その度合いを調べるために、
腸脱鏡検査が指示されることもあります。

 

また、尿に血塊が混じっているケースでは、尿道から勝脱にカテーテル(細いチューブ)を入れて採尿したり、
その後の膀胱洗浄が必要になることもあります。

 

しかし、出血によって尿道の閉塞が起こった場合を除いて、
日常的に膀胱カテーテルによる採尿や膀胱洗浄が行なわれることはまれです。