副作用で性機能障害がおこるリスクもあります

性機能障害(男性・女性)

月経異常・不妊など

 

抗がん剤が卵巣を直接傷害、原始卵胞を破壊する

細胞分裂が活発な組織ほど、抗がん剤の影響を受けます。
卵細胞のある卵胞も直接傷害を受けやすく、抗がん剤によって卵胞の数も減少してきます。
その結果、月経不順、過少月経、無月経、不妊などを引き起こします。

 

また、卵巣でつくられるエストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌が減少あるいは止まって、
更年期障害に似たホルモンのアンバランスをきたすことから、
ほてり、冷や汗、抑うつ感、不安感、不眠、腔の萎縮、
性交痛、骨粗鬆症、心臓の血管障害
といった更年則障害じ似た症状があらわれます。

 

しかし、こうした症状は多くの場合、抗がん剤治療が終われば回復します。

 

 

リスクは抗がん剤の種類や、治療開始年齢などで異なる

抗がん剤治療では複数の薬剤を併用する場合が多いので、
原因となった薬剤を正確に特定することは困難です。

 

シクロホスフアミド、ブスルファン、メルフアランなどは、
明らかに卵巣機能を障害するとされています。

 

使用量や使用期間も影響します。
シクロホスフアミドシスプラチンなどは、総使用量が無月経の頻度に関連するとの報告があります。

 

ただし個人差があり、危険量や危険となる使用期間が明確にされている抗がん剤はありません。
同様に個人差がありますが、一般的に、治療開始年齢が低いほど卵巣機能障害はあらわれにくいとされ、
年齢が高いほど機能回復の確率は低くなるといわれます。

 

しかし、長期間を経て卵巣機能障害があらわれることもあります。

 

 

治療はホルモン補充療法、開始時期は施設で異なる

卵巣機能障害を予防する方法はまだ確立されていません。

 

症状はエストロゲンの不足が原因なので、エストロゲンを補うホルモン補充療法が行なわれます。
ただしこの治療法は、乳がん発症の危険を高めることがあるため、症例によっては適さないケースもあります。

 

また、開始時期については、卵巣機能回復の確認のため、
症状が強い場合を除いては二年間ほど期間をおくという施設もあります。

 

 

精子減少・不妊など

抗がん剤が精巣を直醸傷害、精子の形成に影響する

抗がん剤は精巣(皐丸)に直接作用し、正常な精子の形成を妨げます。
その結果として、精巣の萎縮、乏精子症、無精子症、不妊となることがあります。

 

骨髄移植後あるいは前立腺がんでホルモン療法を受けた場合には、
性欲減退、勃起力低下などの性機能障害を生じることが多いのですが、
抗がん剤は勃起にはほとんど影響しないとされています。

 

しかし、抗がん剤治療後は、男女を問わず性欲が低下する傾向にあります。
これは、吐き気や嘔吐、脱毛など、抗がん剤によるほかの副作用が起こると、
性行為そのものに関心が向かなくなることも一因でしょう。

 

 

階害の程度は薬剤の種類や、治療開始年齢などで異なる。

女性同様、男性の精巣機能障害も抗がん剤の種類に左右されます。
障害の程度が高く、精子形成の回復率が低いのは、シクロホスフアミド、
プロカルパジン
、多剤併用療法のMOPP療法(ナイトロジェンマスタード+ピンクリスチン+プロカルパジン+プレドニゾロン)です。

 

そのほかC-MOPP療法(シクロホスフアミド+ピンクリスチン+プロカルパジン+プレドニゾロン)、
ABVB療法(ドキソルピシン+ブレオマイシン+ピンプラスチン+ダカルバジン)、
PVB療法(シスプラチン+ピンプラスチン+ブレオマイシン)、
BEP療法(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)などでも起こります。

 

使用量や使用期間、治療開始年齢も関係しています。
シクロホスフアミドクロラムブシル(日本では保険未承認)では、
総使用量が増えればそれだけ精巣機能障害が起こりやすいとされています。

 

また、成人の精巣のほうが小児よりも損傷を受けやすいといわれています。

 

 

ふつう数年以内に回復するか、精巣機能障害が続く場合も

精巣機能障害の予防法や治療法は確立されておらず、
男性の場合、ホルモン補充療法はあまり行なわれません。

 

なお、勃起不全治療薬を使用する際は、医師に相談してください。

 

使用する抗がん剤や治療法によっては、半年~数年で回復することもありますが、
総使用量によっては無精子症が続く場合もあります。